シロアリは世界に約2000種生息しており、その大部分は人間と直接関係のない場所で生活していますが、その一方ではシロアリの被害を受ける建築物は年ごとに増え、その被害額は年間1,000億円以上ともいわれています。シロアリはもともと南方系の害虫ですが、住宅の暖房が向上するとともに北上し、全国的に大きな被害を与えています。
このシロアリ被害は建物の床下から蟻道を通って侵入し、木造部分の内部を食い荒らすため発見しにくく、気がついた時には、土台、柱などがぶかぶかになっている場合がよくあります。
従って、新築、増改築時の予防や早期発見による駆除処理をすることが大変重要です。
・蟻道(ぎどう)
シロアリは乾燥に弱く、風や日光を嫌います。このため排出物や土砂などで蟻道を作って、木材の食害や水補給のための通路にすます。蟻道は束石、基礎、床束、大引きなどの表面に作られます。
・蟻土(ぎど)
シロアリは風や日光を嫌うので、食害している木材の割れ目や、継ぎ目などに土砂や排出物を詰めており、被害発見の手掛りとなります。
・羽アリ
羽アリの群飛期は、シロアリが人前に姿を現す唯一の時期ですので、シロアリを発見する絶好のチャンスです。*ヤマトシロアリは4月〜5月頃(ただし、沖縄2月、東北・北海道6月頃)の昼間に飛来します。
・被害を多く受ける場所
シロアリは湿気を好むため、浴室、台所、洗面所の土台、敷居、床組などあるいは雨漏りのある所が被害をよく受けます。
ただし、イエシロアリは水を運ぶ能力があるため屋根裏まで加害することがあります。
【木部処理】
・吹付・塗布処理
土台、柱、根太、大引き、下地板などの木部正面に1u当たり300mlの薬剤を吹付けまたは塗布処理します。特に木口、割れ、接合部などには入念な処理を行います。イエシロアリが生息する地域では必要に応じて小屋組まで処理します。
【土壌処理】
シロアリは地中から侵入するため、床下全面の土壌に1u当たり5〜10リットルの薬剤を散布します。
基礎の外側の土壌処理は周囲の環境を汚染しないように配慮した処理を行います。
(穿孔処理) 土台、大引きなどにドリルで穴をあけ、薬剤を注入します。 |
(吹付処理) 今後の予防のためにも薬剤を吹付けます。 |
(穿孔処理) トイレ、洗面所、風呂場などの敷居、 窓台に薬剤を注入します。 |
(モルタル壁体内処理) モルタル壁に穴をあけ、内部の下地板に薬剤を処理します。 |
(木部処理) | (土壌処理) |
(土壌処理) 最後に基礎コンクリート、束石、床下の地面に薬剤を散布します。玄関などのコンクリートスラブにもドリルで穴をあけ薬剤を注入することもあります。 |